2015
12.09

何に対して一貫性を持つのか

人材マネジメント, 曽和利光

一貫性を持つとは

人材フローにおいて「一貫性」を持つことが重要です。では、具体的に何に対して一貫性を持つことが大切なのでしょうか。

まず、企業は「安定成熟事業型価値・風土」と「変革新規事業型価値・風土」の2つに分けることができます。安定成熟型の企業は、ビジネスの基盤を作り、事業を展開します。その際にある一定の分野を選択し、集中して成長することを指しています。したがって、安定して同じ方向に向かって、量的に拡大していきます。その一方で、新規事業型とは事業が停滞した際、その状況を打開する為に何か新しいものを生み出すことを指しています。

この2つの型によって、企業が取るべき行動や考え方が決定されます。その時に、上の表に基づきそれぞれの分野で一貫性を持っていることが大切なのです。

事業・組織行動での一貫性

例えば、事業の重要項目は何かと考えた時に、安定成長型ではBPR(ビジネスプロセスエンジニアリング)等の業務改善がその1つです。なぜなら方向性と戦略が大きく変わらない状況においては、業務の流れを最適化することが事業をより拡大する為に必要だからです。その一方で、新規事業型では、変化を起こす為に新商品開発に力を注ぐことが重要項目にあたります。

この2つの重要項目の違いから、議論を進める上での価値観が変わってきます。安定成長型では合理性や客観性が重要であるのに対して、新規事業型では挑戦や独創性が大事になります。

次に事業としての特徴が分かれた場合、組織方法はどのように変化するのでしょうか。例えば、マーケティングの観点からみると、「マーケット・イン」と「プロダクト・アウト」という項目があります。プロダクト・アウトとは市場が求めるものではなく、新しいものを作ることです。そのため新規事業型の企業には向いているマーケティング方法です。指揮系統ではトップダウンかボトムアップの項目があります。トップダウンはトップの意思が明確な場合、改善や普及が容易になるので効率的です。しかし、現場の人たちの創造性を少なくするので新規事業開発には不向きです。このように、個人に対して求める組織行動が変われば個人に対するHRM(Human Resource Management)の特徴も変化します。

評価・HRM・会社と個人による一貫性

次に評価・報酬の方法でも、安定成長型の場合は数値目標を事前に定義することが容易にできます。つまり、最初に設定した数値に合わせて評価・報酬を決定することに適しています。しかし、新規事業型のように何か新しいものを作る場合は目標を事前に定義することが困難です。そのため質的目標やプロセス目標を決定することが適しています。

また報酬の決定方法ですが、安定事業型では組織的報酬(役職、地位など)を報酬として活用することができます。一方、新規事業型では非組織的な報酬(金銭、自由裁量など)を考える必要があります。

HRMの項目では、人材フローの観点から長期行動を重視するのか、独立を支援するのか。人材調達の観点から組織内で育成するのか、必要時に調達するのか。人材配置はゼネラリスト志向なのかスペシャリスト志向なのか。以上の項目に注意して方向性を決定する必要があります。

最後は会社と個人の関係に関することです。安定成長型は会社と個人の関係が、運命共同体で一体感を持つことを醸成する方向にアライメントすることが重要です。これによって社内の雰囲気・モチベーションが上昇するので、個人の帰属意識が職場に対して向きます。これは長期雇用を重視する安定型の企業に適しています。

これに対して新規事業型は契約関係でモチベーションを考慮せず、Give&Takeの感覚でドライに雇用能力を保証することが重要です。これによって個人の帰属意識が仕事に向きます。これは独立を支援している新規型に合っています。

除々に企業の方向性を定める

以上のように、2つの型の項目ごとに適している行動や考え方があります。この項目を、例えば安定成長型であれば、それに適した方に一貫させることが大切です。しかし、ベンチャー企業では「この項目では左側だけど、この項目は右側だ」といった形で一貫性がないことがほとんどです。当然のことながら、はじめから理想的な組織は存在しません。そのため、「事業は右側だが、組織行動は右側だ」という企業だとしても、項目ごとに一貫性が取れていれば、成果は上がる可能性が高いです。したがって、それらを除々にアライメントし、方向を定めることが今後の人材マネジメントポリシーを決定する上で重要です。

3行まとめ

企業の型(安定型か新規型か)によって、行動や考え方が決定される。
5つの項目(事業・組織・評価・HRM・会社と個人)ごとに、一貫性を持つ必要がある。
除々に企業の方向性を定めていくことが重要です。

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