2015
12.09

求める人材を効果的に採用するには

人材マネジメント, 曽和利光

人材ポートフォリオの策定

採用担当にとって、求める人物像は1つではありません。そこで、人材ポートフォリオを策定する必要があります。人材ポートフォリオの策定とは、求める人物像を設計することです。この求める人物像を選定する際に、間違えやすい点があります。それは、求める人物像を1つに絞り、これが自社の求める人物像であると断言することです。企業とは成長して規模が拡大すればするほど、人のタイプが分かれていきます。仕事とはチームでするものです。したがって、その組み合わせやバランスによって組織の全体の力が構築されます。例えば、野球で4番バッターばかり集めたからといってそのチームが強いとは限りません。サポート役やチームを引っ張る人がバランス良く存在しているかが重要です。企業においても、この観点を持って個々に求める人物設計をすることが重要です。

人材ポートフォリオは2軸によって4つのタイプに分類することができます。まず左右の軸は「新しい価値を創造すること」を求められるのか、「既存手法の運用をすること」を求められるのかを示しています。そして上下の軸は「チームで成果を出す」のか「個人で成果を出す」のかを表しています。

将来の経営陣はエグゼクティブ人材と呼ばれています。これはチームで新しい価値の創造をすることが求められる人材です。左上のマネジメント人材は、チームで既存手法の運用をすることが求められます。右下のオフィサー人材は、個人で新しい価値の創造をすることが求められます。最後に左下のプロフェッショナル人材は個人で既存の運用をすることが求められる専門家や技術者が当てはまります。

これがさらに「現在のポートフォリオ」と「未来のポートフォリオ」に分類されます。前者はスタートラインとして現実のポートフォリオを指しています。これに対して後者は、ゴールとして理想のポートフォリオを表します。そして、現在からスタートして未来のゴールに到達するプロセスが「人材フロー」と呼ばれます。

4つの人材に適した採用方法

そして、エグゼクティブ人材・マネジメント人材・プロフェッショナル人材・オフィサー人材4つの人材に対する割合が現在何パーセントずつか把握し、将来何パーセントずつに配分したいかを抽出します。その後、理想と現実のギャップを埋める為の人材フローを決定します。例えば人材フローの段階で左上のエグゼクティブ人材が現在10%いるが、理想としては30%欲しい。といった状況があるとします。この場合に何年かかけて、20%の差を埋めるための採用活動をする必要があります。そこで、考えるべきポイントが1つあります。それは「新卒採用」と「中途採用」のどちらで採用するか、という点です。なぜなら、それぞれの人材の特質から、新卒と中途のどちらから採用することが適しているか変わるからです。

チームで新しい価値を創造することを担うエグゼクティブ人材は最優秀層である必要性があります。そして、最優秀層がいる市場は、日本国内では新卒市場と考えられています。もちろん中途採用で幹部候補生になる人材もいます。しかし、その際は経営者自らが大きな労力をかけてヘッドハンティングする必要があります。したがって、エグゼクティブ人材は新卒市場で採用することが適しています。

マネジメント人材は企業の文化に適応する必要があります。中途採用の人材が入社後すぐにマネージャーを担当すると、すぐに企業の文化に適用できない可能性があります。したがって、マネジメント人材は文化に強くコミットできる新卒社員を採用することが適しています。

同様にプロフェッショナル人材も、目標達成文化が高い企業を想定しているので新卒採用が適しています。一方経営参謀のオフィサー人材は、新卒で入社したとしても専門知識を獲得できる場がありません。したがって、中途採用が適しています。

求める人物像を作る際の注意点

採用するときに、MUST条件は最小限にすることが鉄則です。求める構成要素の条件を多くしてしまうと、対象が狭まってしまいます。例えば、条件を多く設定した結果、バランス力のあるバランサーばかり集まってしまい、多様性が失われることで変化に対する対応力を失ってしまいます。そのため、育成することで培うことができる能力であれば、採用時にその能力がある必要はありません。したがって、採用担当者が注目すべき点は、育てられる能力か否かを判断することです。ある種の能力には臨界期が存在します。臨界期とはある年齢を過ぎると獲得できなくなる時期を示します。臨界期が存在する具体的な能力としては、性格などが挙げられます。このような本質的に育成可能な部分と不可能な部分を見極めることが重要です。そしてこの後に育成スピードと育成機会を考慮します。仮に「3カ月以内に活躍することを条件とする」場合は採用の条件に含めます。しかし、育成する機会が自社になければ採用の条件に含めてはいけません。

以上3つの要素に注意して、できるだけMUST条件を最小限にすることが大切です。

3行まとめ

バランスの良い人材ポートフォリオを策定する。
エグゼクティブ人材・マネジメント人材・プロフェッショナル人材・オフィサー人材のそれぞれに合った方法で採用する。
MUST条件を最小限にすることが鉄則。

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