2015
12.10

求める人物像とは

人材マネジメント, 曽和利光

人物要件・求める人物像

人事採用においては「人物要件」と「求める人物像」は同義語として普段使われることが多いです。しかし、この2つの言葉は異なる意味を持っています。

人物要件は「自律性の高い人」や「ストレス耐性の強い人」などの抽象的な条件の羅列を示します。

では求める人物像とは何でしょう。そもそも、前提として求める人物像はなぜ作るのでしょうか。それは採用担当者やエージェントと目線を合わせる為です。つまり、この人なら自社に合っていると納得する為に求める人物像を作成します。しかし、先ほどのような抽象的な条件の羅列を並べたとしても、お互いの頭の中で同じイメージ像を描くことはできません。

つまり、求める人物像は抽象的な要件の羅列ではなく、その人の姿をイメージできるところまで具体的に落とし込むことが必要です。これはマーケティングの世界では、ペルソナマーケティングといわれています。例えば、このサイトを見ている人は25歳で中目黒の1LDKの何万円のマンションに住む独身で、好きなブランドは○○、好きなアイドルは△△です。といった形で明確な顧客像をイメージします。これと同様に、採用活動においても求める人物像を明確に作成する必要があります。

そこで、求める人物像を表現する際によく使用される3つの能力を述べていきます。

①知的基礎能力とは

1つ目は地頭・コミュニケーション能力・論理的思考能力などの知的基礎能力です。今述べた3つは上記の表に分類される4つの能力のいずれかに該当します。

冒頭の表上部は抽象的な世界を示し、下部は具体的なリアルな世界を表しています。そして、この世界を行き来する力が地頭になります。

1つ目の具体的なものから何らかの形で抽出する「抽象化力」です。例えばお客さんと話をしていて、買う気があるのか興味がないのか感じ取ることです。「感受性」や「本質を見抜く力」がこれに該当します。

2つ目は抽象的な概念を論理操作を行うことによって別の概念に結ぶ「展開力」です。イメージとしては、仮定と結論の間を繋ぐ図形の証明問題に近いです。「論理的思考能力」がこれに該当します。

3つ目は抽象的な事象を具体的な事柄に置き換えて表現する「具体化力」です。例えば○○雑誌の12月号はこんなコンセプトでいくと決めたとします。その時にモデルは誰にするのか、ライターは誰にするのかを具体的に決定する必要があります。その際に必要となるのがこのイメージを具体化する力です。「表現力」がこれに該当します。

最後の4つ目は具体的なもの同士を結ぶ「連想力」です。抽象的概念は論理でつなぎます。これに対して、具体的なもの同士は共通部分を直感でつなぎます。この能力は地頭の中でもっとも謎な能力とされており、「高速の思考」ともいわれています。

②自律性・主体性とは

2つ目が自律性・主体性についてです。
主体性とは与えられた課題に対して前向きに取り組むことです。この表現は矛盾しているように感じますが、「前向き」とは順応性や適応力を指しています。

自律性とはセルフコントロールすることです。自律性の高い人は、「環境をスタートラインと考えています。」したがって、現在の環境を自分から働きかけて変えることができると考えています。一方で、自律性の低い人は、「現在の環境を前提としています。」したがって、外部環境によって自分自身が規定されてしまいます。

自律性を5段階に分けたものが、上記の表です。

自律性が低い規定行動には、「他者に指示された行動」や「既存の単一の方法に従った行動」が当てはまります。一方で、自律性が高い選択行動には「「既存の選択肢から自己選択した行動」や「環境を自分に合うように変える行動」が存在しています。

③ストレス耐性とは

3つ目がストレス耐性です。「ストレス耐性が強い人を採用しよう」といっても、色々な強さが存在します。例えば、環境刺激に対して「敏感」であるとストレス耐性が弱くなるのに対して、「鈍感」であるとストレス耐性が強くなります。本来、鈍感であることは反省すべき点です。しかし、新規開拓営業をする際は、このような鈍感力が求められます。

また、同じことをしていても自分のキャリアの価値観に合わせて、その仕事をすることに意味付けることができれば、ストレス耐性力が高まります。これを指す有名なレンガ職人の話があります。ある3人のレンガ職人が同じレンガを積んで建物を作っています。1人は嫌々仕事をしています。1人は普通に仕事をしています。そして最後の1人は生き生きと仕事をしています。この3人の違いは意味付けにあります。1人目は、レンガを積んでいると考えます。2人目は建物を作っていると考えています。3人目は人々の心を癒すための大聖堂を作っていると捉えます。以上のように意味付け力があるかないかで、そこから感じるストレスが変化します。

3行まとめ

人物像とは抽象的な要件の羅列ではなく、その人の姿をイメージできるまで具体的に落とし込むこと。
知的基礎能力は「抽象化力」「展開力」「具体化力」「連想力」の4つに分類できる。
ストレス耐性を高める上で、意味付けする力が重要。

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