2015
12.16

文化によるマネジメントとは

キャリア開発, 曽和利光

3つのマネジメント方法

前回までに、キャリアを軸としたマネジメント方法として「新しいキャリア理論」をいくつかご紹介しました。それらは、個人のキャリアに注目した、ミクロな観点によるマネジメント方法でした。今回は個人の総合体である組織や文化といった、マクロな観点から捉えていきます。

マネジメントの仕方、つまり人を動かす方法は大きく分けて3つに分類できます。1つ目は行動によって管理する行動マネジメント。2つ目は目標や結果で管理をする結果マネジメント。3つ目が文化による文化マネジメントです。これは、どれが優れているか、という話ではありません。目的や状況、雇用形態や職種によって会社が取るべきマネジメント方法が異なります。

それぞれの特徴としては、1つ目の行動マネジメントは1から10までこういうふうにやれと行動の指示を出します。そのため、すぐに実行できることが多いので即効性があります。2つ目の結果マネジメントは、やり方を従業員に任せます。そして、結果が出れば評価をする一方で、出なければ評価されません。3つ目の文化マネジメントとは、ある価値観に基づいて自分でゴールを設定して成果を出すことです。

例えば、社員の営業担当者の場合は結果でマネジメントします。これくらい売り上げたらインセンティブをこれくらいにする。もしくは、売りたい商品の目標を達成したらインセンティブを出す形態です。

事業戦略や商品開発を担当する部署の場合は、文化による管理を行います。なぜなら発注する側も、どうゆう商品が良いのかゴールがわからないからです。そのため、「事業として○○な価値を世の中に提供したい」という抽象度の高い価値観や理念で管理する必要があります。

以上のように、目的や職種の特徴によって「行動」「結果」「文化」のどれでマネジメントしてくか変化していきます。

その中でも、文化によるマネジメントをするメリットが大きいので、その特徴と理由を述べていきたいと思います。

文化によるマネジメントの特徴

文化によるマネジメントをメンバーの視点から考えた時、以下3つに分類できます。
① 速い意思決定
② 協力の促進
③ 仕事の意味

①は文化に従って意思決定するので、「こうゆう行動をしていいですか」とマネジャーにいちいち確認する必要がありません。そのため意思決定のスピードが速いです。②はある程度の規範に従うことで、メンバー同士の協力が促進されていきます。③組織の価値観を理解することで、仕事の意味付けを行いやすくなります。その結果、個々人の達成欲求を満たすことが可能になります。

一方で、組織の視点から考えた時は、以下2つに分類できます。
① 組織の外部環境への適応を助ける。
② 個々人やグループの意思決定と企業の目標を1つにする。

① 組織文化や理念を実現することは戦略的決定を方向づけ、顧客の要求に適応させることに役立ちます。もともと文化や理念は、対外的に自社が何をやっているのかを発信するものです。つまり、文化とは顧客に対するルールと捉えることができます。したがって、文化に沿って従業員が行動することにより、自然と顧客の欲求に適応していくことになります。
② 個々人やグループの意思決定と企業の目標を1つにすることは、組織の一体感を形成することにつながります。その結果、メンバーは圧力を受けなくとも行動をし、高いレベルでの目標達成や満足度を求めていきます。行動や結果によるマネジメントでは、100の指示を出した際に100以下で終わることがほとんどです。しかし、文化による管理ができていれば自律性や創造性が働き100ではなく150の仕事をしてくれる可能性があります。

以上まで述べたことが、文化マネジメントをすることの特徴であり、メリットになります。

強い文化を作るには

では、強い文化を作るためにはどうすれば良いでしょうか。波頭氏(マッキンゼー出身コンサルタント)が提唱する「4SプラスCのフレーム」という組織形態があります。これによると、組織を三角形と考えた時の頂点には“Strategy”(事業戦略)が存在しています。そして底辺には“Culture”(文化)が存在しており、それに触れているのが、“System”(制度・ルール)“Structure”(組織構造)“Staffing”(人材)の「触れる3S」です。文化とは抽象的な存在ですので、直接触れて変化させることはできません。しかし、文化に影響を与える、“System”“Structure”“Staffing”を変化させることで、間接的に文化を維持・変化させることができます。

そのため、「自社は明日から○○の文化にします」と言ったところで意味がありません。そうではなく、その文化によって期待する行動を産みだすような改善策を、「触れる3S」の観点から考える必要があります。例えば、求める人物像を変えること、組織構造をAからBに変更してみる、新たな制度・ルールを作ること、などが挙げられます。

3行まとめ

目的や職種の特徴によって「行動」「結果」「文化」のどれでマネジメントしていくか変化する。
文化に沿って従業員が行動することが、自然と顧客の欲求に適応していく。
“System”“Structure”“Staffing”を変化させることで、間接的に文化を維持・変化させることができる。

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