2015
12.24

どのように求心力と遠心力を高めていくのか

キャリア開発, 曽和利光

インフォーマル組織とは

求心力を高める施策として、「企業理念」と「愛社精神」を構築することが重要である。と前回まで述べてきました。その他にも、キャリアを形成する上で大切な求心力が存在します。

そのうちの1つが、フォーマルな組織だけでなくインフォーマルなネットワークを構築することです。インフォーマル組織とは、ヒエラルキーを考慮しない従業員同士のつながりのことを示しています。

では、なぜインフォーマル組織を構築することが求心力を高めるのでしょうか。
ここで、インフォーマル組織が従業員の求心力を高めることを示す例を1つ挙げていきます。

東京と札幌に拠点を構えるA という会社がありました。その会社では年間50%の社員が辞めていました。そこで2つの支店を分析した結果、東京での退職率が低いのに対して札幌での数値が高いということが判明しました。その違いを考察した時、東京支店では「よく飲みに行く」などのインフォーマルネットワークが存在していました。その一方で「業務終了後すぐに帰宅する」など人間関係が希薄であったのが札幌支店でした。

ただ、この結果には2つの支店の根本的な構造の違いが存在していました。それは、東京支店は固定シフトで、出社すると顔見知りの人と共に勤務するのに対して、札幌支店は変則シフト勤務で、毎回知らない人と仕事をする形態となっていたことです。

したがって、求心力を高めるために「根本的な構造を見直して従業員のネットワークをいかに構築するか」を考えることが重要です。

どのようにインフォーマル組織を構築するべきか

では、インフォーマル組織を構築するためには何をする必要があるのでしょうか。
多くの会社が取り組んでいるものとしては
・キックオフ…クオーター毎に集会を開き、そこでビジョンの共有を行う。
・アトラス…社員の写真や趣味を載せた名簿を社内で共有する。
・社内レクリエーション…運動会やアウトドアイベントを行う。
というものが挙げられます。

これらは、仕事に結びつくものもあれば仕事以外のメンタルケアやキャリアサポートにも効果が期待できます。自然に取り組んでいる企業が多いのですが、意図的に取り組むことでより一層の効果が得られます。

社内転職制度とは

社内転職制度も求心力施策として使われる場合が多いです。「社内の流動化」と「社外の流動化」はトレードオフの関係性があります。人間とはマンネリ化すると別の場所へ行きたくなるものです。その時に社内での流動性が低ければ、社外へ行く可能性が高まります。つまり、社外に行かせたくなければ社内の流動性を高めることで、求心力を高めることができます。

例えば、ある特定の部署で「上司が嫌い」や「仕事がつまらない」と言っている社員がいたとします。そういった場合、社外に目を向けることが多いです。しかし社内転職制度を活用することで、違う部署に配属されて「仕事が楽しい」とあっさり意見が変わることがあります。

どのように遠心力を高めるべきか

人材マネジメントをする上では求心力と遠心力のバランスを取ることが大切です。これまでは、求心力に関する話を述べてきました。

では、一方で遠心力を高めるためにはどのようにすれば良いでしょうか。
遠心力施策の中心としては、退職金制度や評価報酬などの「お金」に連動するものとなります。しかしほとんどの企業が退職金制度を活用したとしても、うまく代謝を進めることができていません。その理由は、従業員の能力やスキルが他の企業にマッチしなければ、いくらそこで一時金をもらったとしても引退するわけにいかないからです。

そのため、他社でも通用できる普遍的なスキル、知識を育成する必要があります。これをポータブルスキルと呼びます。例えば、普通の営業マンであっても、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)を読めるようにすることや、PCスキルを高めるなどのポータブルスキルを獲得支援します。すると、退職して他社に移る際に窓口が大きくなります。その結果、従業員が社外に向かう遠心力が高まります。したがって、ポータブルスキルの獲得支援をすることが、遠心力施策の1つとなります。

3行まとめ

求心力を高めるために「根本的な構造を見直して従業員のネットワークをいかに構築するか」考えることが重要。
社内の流動性を高めることで、求心力を高めることができる。
遠心力施策の1つに、ポータブルスキルの獲得支援をすることがある。

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