2014
08.06

何を評価対象にするか

曽和利光, 評価・報酬

収集すべき情報とは

分不相応な採用をするためには、フォローが重要であり、さらにそのフォローの順番が大事だということをコチラで述べました。ここでは、自己開示によって関係性が構築された後の段階。フォローにおける情報収集についてもう少し掘り下げて述べていきたいと思います。さらに、情報収集のときに忘れてはならない、コンプライアンスについても後半で述べていきます。

何を聞けばいいのか

具体的に何を聞けばいいのかというと、モチベーションリソース、キャリア観、自社に対するフックとネック、意思決定スタイル、そして影響された人物です。

モチベーションリソースとは、そのまま「あなたはどんな時にモチベーションが上がりますか?」「あなたにとってのエネルギー源は何ですか?」「どういう時に楽しいの?」などと聞けばよく、とても聞きやすい質問です。また、モチベーションリソースには大きく4つに分けられます。それが組織型、仕事型、職場型、生活型です。

モチベーションリソースの4つの型

それぞれを簡単に述べていくと、一つ目の組織型とは帰属している組織の社会的ステータスが働く動機となっている型です。「自分は◯◯会社に勤めているから」というステータスがモチベーションリソースとなるとともに、「◯◯会社の幹部になった」といった社内的地位に伴う仕事報酬にもこだわりを持つタイプです。次の仕事型ですが、仕事自体が面白い、仕事から学ぶことで知的好奇心が満たされる、といったものでモチベートされる型です。この型の人には、面白い企画書を見せてあげたり、インターンで実際に仕事を体験させたり、といったことが大事です。

三番目の職場型は、日本人の6割程度が当てはまると言われています。象徴的な言葉で表現すれば、何をやるかより誰とやるか、といったことに共感する型です。このタイプの人は自分がやりたいというより、誰かの為になりたいという意識がより強くなっています。そして、職場型の人とは会う機会を増やすことが大事です。何回も会っていると親近感が湧く、という単純性効果というシンプルかつ非常に強い心理バイアスがかかりやすいのです。

最後は生活型。これは仕事や職場、会社そのものではなく、それらによって自分の生活がどれくらい良くなるか、というところに関心が強い型です。ワークライフバランスを重視するため、労働時間や福利厚生のアピールがこのタイプの人には響きます。

自己開示で心を開いてもらう

面接というのはある意味で異常な場です。パっと会ったばかりの人に自らの人生を語り、そしてそれが選考基準となるわけです。選考ということで、選考する側がかなり強い立場になるということもあって、普通であればぶしつけで聞けないようなこともバンバン聞かれる場です。そんなシチュエーションで候補者が、心のままをそのまま出せるかというとそれは難しいことものです。

基本的に、本音や深い話が聞きたければ、自分が同じ深さまで降りていくしかありません。どこまで深い話をすればいいのかと言えば、例としては生育史が代表的です。自分がどこで生まれ、幼い頃はどうだったのか、小中学校はこんな感じで大学時代はこうだったということを話すことは、自己開示として効果的です。しかし難しいのがタイミング。登場していきなり、「小学生の時は~」と話しだすと、それはおかしなことになります。

では、生育史を語るのはどのタイミングなのか。そのチャンスは入社動機を聞くときです。採用面接において入社動機は必ず聞く質問です。

このように人材フロー戦略の確立によって、おのずと採用方針も決まってきます。そして採用後の配置や異動、社内教育なども決まってくるのです。自分がどういう幼少を過ごし、学生時代を過ごし、現在の会社の理念とどのようにマッチして入社に至っているのか。そのことを自らが先に語ることで、「それであなたは?」と本音に近いレベルで聞くことができるのです。また、生育史を語ることの副産物的メリットとして、郷里などの共通点が現れることがあるというものがあります。

率直な主観を話してもらう

繰り返しになりますが、時に露出狂のように自らを開示しなければ相手からも開示してくれません。自己開示によってリレーションが構築されたら初めて、相手から情報収集することができます。そしてこの情報収集は、ジャッジとは全く異なる観点から行う必要があるのです。ジャッジでは具体的・客観的事実のみを聞きますが、情報収集では相手の主観や妄想、思い込み、偏見といったものをどれくらいダウンロードできるか、という点が重要です。

情報収集で気をつけなくてはならないのは、議論をしてはならない、ということです。主観や思い込みを語ってもらうと、「いやいや、それは違うよ。なぜなら~」と言いたくなってしまうものです。しかし議論をして、相手を負かしたとしても、相手が変わることはありません。議論を始めた段階で、相手は本音を言うことを止めてしまうのです。
→情報収集の詳細、面接で聞くべきこと・聞いてはいけないこと等はコチラの記事へ

口説かない口説き

いい人、採用したい人が居たとして、心理としては自社をアピールし、すぐに口説いてしまいたくなるものです。しかしそれは、あまり良い結果をもたらさないことが多いです。口説くために重要なのは、口説かないことです。口説かないということをイメージするのであれば、キャリアカウンセリングが近いでしょう。話の中に自社だけではなく競合となるA社、B社も含めて話します。そしてその中で、彼・彼女のキャリア像に近いのはどれか、ということを話していきます。

この段階で最もやってはいけないこと。それが自社と競合他社を比較することです。採用における愚の骨頂とも言われます。自社と他社との比較は、ともすると候補者が他社、面接者が自社という対立関係を生む原因となります。これではフラットにはならず、良い結果をもたらすことはありません。つぎに、口説かずに褒める、ということがベタですが効果的です。

3行まとめ

分不相応な採用は、自己開示、情報収集、説得勧誘という順番で。
自己開示でリレーションを構築してから情報収集を。
口説かない口説き。

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