2つの人材育成方法

 

人事担当者が人材の適材適所を考える上で、
・パーソナルティ最適
・アビリティ最適
・キャリア最適
という3つの方法が存在します。

前回まではパーソナリティ最適に関して言及してきました。
今回はアビリティ最適について述べていきたいと思います。

アビリティ最適について、マッコール理論では「人は仕事によって磨かれる」と提唱しています。したがって、人材育成をしていく上で仕事をどのようにアサインしていくかが重要です。
育成方法にはOff-JT(オフザジョブトレーニング)とOJT(オンザジョブトレーニング)と呼ばれているものがあります。

Off-JTとは研修、座学などの仕事から離れて特別な環境においてトレーニングを受けることを意味します。
OJTとは実際の仕事を通じたトレーニングです。ここでは会社の中でどのようなキャリアコースをつくり、どのような順番で誰にどのような仕事をアサインしていくかが着目点です。この時に重要なポイントは、仕事を教育機会・資産と捉えることです。

仕事による育成をする2つの基本的な考え方

モーガン・マッコール教授(南カルフォルニア大学)は、会社の能力を全体として向上させていくために、最も重要な教育機会は仕事自体にあるという考え方が根底にあります。そこで、上記の表の左側には一般的な「無意識に前提としがちな考え方」、右側には組織としての能力を最大化させるための「仕事(配置)による育成の考え方」が記述されています。

基本的な考え方として、適者生存的手法と適者開発的手法の2つが存在します。
前者はリーダーを研修しようと考えた時に、誰がリーダーに適しているか実際の経験やアセスメント等によってテストし振り分けることを意味しています。それに対して後者は、将来の求める人物像に必要なものを学ぶ支援をすることが中心です。これは採用戦略の際に述べた「求める人物」の考え方と連動しています。採用時に必要なものと、持っていなくとも育成可能な能力を区別して、入社後に育成目標としてOJT 、Off-JTをかけることが重要です。

リーダー候補者の選抜基準

リーダー候補者を選抜する際に、到達点モデルと学習能力のモデルの2つの方法が存在します。到達点モデルとは、将来リーダーになった時に発揮される能力は、若い時でも縮小された形で存在しているということを前提としています。そして、その考えに基づいて成果をあげるリーダーに共通の特徴を識別し、その特徴を持つ人物を明らかにする方法を取ります。

その一方で、学習能力モデルは到達点での特徴は必ずしも若い時に縮小された形で存在するわけではないと述べています。その理由としては、多様な経験から学習する能力の評価がリーダー候補者を早期選抜する際の核心と考えるからです。この学習能力の定義とは何でしょうか。その基盤には、地頭力や論理的思考能力などの基本的な知的な能力があると考えられています。そして、これに自己認知を掛け合わせたものが学習能力です。つまり学習能力の高い人とは、自分の強みと弱みを把握していて何を改善するべきか理解している人です。

では、自己認知はどうすれば生まれるのでしょうか。そのためには、フィードバックをきちんと受ける環境とそれを受け止める受容性が必要です。フィードバックに関しては、上司が部下に言及する場合や評価、360度サーベイなどの色々な方法で実践できます。それに対して、受容性を高めることが難しいです。厳しいことを言われた時にそれを素直に受容することは困難です。すると自己認知が高まらないので学習能力が高まりません。そこで、重要なことはベーシックトラストを持つことです。これは「頑張れば必ず報われる、未来は明るい」といった世界に対する基本的信頼を持つことです。そして、ベーシックトラストがある人は自分の行動の原因が自分から出ている人、すなわち自分軸がある人です。自分軸のキーワードとして、信念、責任感などが挙げられます。

配置・評価報酬の考え方

一般的な考え方では、あるポジションに誰かを配置しようと考えたらそこに最も向いている人を配置します。しかし、仕事による育成の考え方ではそうではなく、その任務から一番多くを学ぶ人を配置します。そのため、最初はパフォーマンスが下がりますが、会社がそうした教育投資をすることが大切です。

評価報酬に関しても、右側の配置による教育を行う覚悟した際に、エース級の人材を教育配置するとパフォーマンスが下がり評価下がってしまいます。すると、期待をかけて抜擢した配置が左遷というイメージに変化してしまいますので注意が必要です。

3行まとめ

仕事を教育機会、資産と捉えることが重要。
将来の求める人物像に必要なものを学ぶ支援をすることが大切。
学習能力の高い人とは、自分の強みと弱みを把握していて何を改善するべきか理解している人。