2016
01.18

人材育成の理想モデルとは

人材育成, 曽和利光

成長を促す経験を選定するポイント

 

人事担当者が、人材育成をしていく上で大切なことがあります。それはその人を成長させる仕事機会を与えることです。では、仕事を選定する際にどのような基準で振りわけることが必要でしょうか。

それは仕事を選定する際に、部署や職種といった表面的な分け方ではなく、定性的な軸で振り分けることです。例えば、リーダー候補である人材に対して、総合力を身につけさせたい場合には、あえて修羅場を経験させる必要もあります。そこで、事業がうまくいかず撤退を考えている部署に放り込み、一皮むけるための経験を意図してさせます。つまり、「自社の中で成長を促すための経験ができる仕事は何か」分析することがポイントです。

ただし、最終的に求める人物像に、必要な能力を育成する仕事の機会がない場合があります。その時、主に大企業では会社の買収や新規事業の立ち上げをすることで、成長を促す経験をさせています。それに対して資金力の少ないベンチャー企業では、仲のよい企業に教育出向をすることで経験を積ませている場合が多いです。

育成体系を構築する4つの流れ

育成体系を構築する流れは、以下の4つのステップから構成されます。
① 戦略からリーダーシップ課題
② リーダーシップ課題から成長を促す経験へ
③ 運営マトリクスの作成
④ 成長を促す経験を見つける

① まず、事業戦略をうまく実行するために、将来の経営幹部が対処しなければならないであろう重大な課題を把握します。そして現在の経営幹部は、そのような課題に直面したとき、現在の経営幹部たちの能力で対処できるのかリーダーシップ開発の課題を検討する必要があります。

② 次に、把握したリーダーシップ課題に対応するための方法を学ぶには、どのような経験が必要となるのか具体的に明確化する必要があります。

③ そして、第2ステップで明確された「必要なスキルを学習できる経験」を整理・統合し、運営マトリクスを作成することで管理できる数にまとめます。

④ 最後に第3ステップまでに発見・作成された事業戦略に不可欠な「成長を促す経験」を、実際の企業内の仕事において把握します。ただし組織内に該当する経験がなく、外部に経験できる場も見つからない場合には、選択肢として外部から必要な人材を採用することもあります。

能力開発の理想的モデルとは

リーダーに必要なスキルは、①才能→②配置→経験→④触媒の順序で能力開発してくことが理想的です。

① 才能(学習する能力)
・経験から学習する能力に基づいて、採用と早期選抜を実施する。
・毎年、それぞれの課題から何を学習したかを評価する。
・人材開発に対する説明責任を明確にした業績管理制度を確立する。

② 配置のメカニズム(その仕事から多くを学ぶ人を配置)
・能力が高い層と学習する能力が高い候補者の両方を把握する後継者育成プログラムの確立。
・「成長を促す」主な課題と「スクール」を公に明確にする。
・「成長を促す」経験と進捗状況を長期的に追跡する。
・業績管理制度で人材開発を重視する。

③ 経験(成長を促す経験)
・必要な経験を提供あるいは代用するコースやプログラムをつくる。
・目標となる経験を創造する。
・「企業内スクール」をつくり利用する。
・成果をあげるコーチと役割モデルを特定し、その人たちに接することができるように課題を利用する。

④ 触媒(適切な支援)
・ラインの責任:具体的な開発目標と説明責任を設定する。「成長を促す」機会と資源を提供する。人材開発に基づく報酬を与える。
・人事の責任:「成長を促す」フィードバックと解説(360度フィードバックなど)を提供する。訓練とコーチングを実施する。経験を活用する際にライン・マネジャーを指導する。安全ネットを与える。
・個人の責任:人材開発に対して個人的に責任を負うことを期待する。自主的に「成長を促す」機会を求めさせるようにする。

3行まとめ

仕事を選定する際には表面的な分け方ではなく、定性的な軸で振り分けることがポイント。
育成体系の流れは、①リーダーシップ課題②成長を促す経験③運営マトリクスの作成④成長を促す経験で構成される。
リーダーに必要なスキルは、①才能→②配置→経験→④触媒の順序で能力開発してくことが理想的。

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