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人事評価制度の目的は、「動機づけ」

人を評価する目的として、ハーズバーグ(アメリカの臨床心理学者)が発案した衛生要因と動機づけ要因があります。

衛生要因とは、それ自体がやる気を引き起こすわけではありませんが、なければやる気を引き下げる要因のことです。

動機づけ要因とは、あればやる気が出ると言われているものです。

衛生要因の評価の側面においては、公平性、目標・責任としての明確さ、報酬・昇格との連動、人件費マネジメントの容易さ、安心感の確保といった部分が当てはまります。これらが、評価の中では必要最小限のレベルでカバー出来れば良い部分です。

その一方で動機付け要因とは、まさに求めている組織行動をとってもらう動機づけです。例えば、キャリアアップを短期の動機づけとすると、そのための学習行動を取ることとなります。すると、キャリアアップした人が出す成果も上がっていくので、次の段階として長期の動機付けが必要になってきます。その他にも、評価行動を通じて組織へのコミットメントが醸成できるので、自分だけではなくてチームや会社全体に対して、何が最適なのかを考えて行動する動機づけが可能な評価制度になります。

他にも動機づけ要因には「求心力」と「遠心力」があります。求心力とは優秀な人材に対して、社内に居続けようと思わせるための動機づけ要因であるのに対して、遠心力とは合わない人が社外への新しい道を選択しやすくするための動機づけ要因となっています。したがって、この2つの力を上手に評価制度へ組み込むことも重要です。

人事評価制度の目的に沿った、評価の基本となる6要素

評価の対象となるのは、基本的に
①生活
②役割
③能力
④行動
⑤成果
⑥功績
の6つの要素となっています。これは基本的に何の対価としてお金を払うのか、報酬水準を決めるのか、という話です。

①生活というのは、生活給とも言いますが、年齢給に似ています。要約すると、従業員の生活水準やライフプランを加味するかです。昔の日本では、生活給を評価対象にする企業が多かったのですが最近では取り入れている企業はほとんどありません。

②役割とは職務給と言われているものです。何をやっているか、仕事自体の難易度で給料のベースを決めるといったシステムです。例えば、能力が高い人に掃除の仕事をさせたとしても、掃除の仕事の給料にするということです。これが職務の給与です。

一方で能力給というのは、能力がある人ならば、掃除だとしても、その能力に給料を払うという考え方が能力給です。すなわち②役割が職務給に対応し、③能力が職能給に対応します。もともと日本は「職能給」が多かったのですが、最近は「職務給」に変える企業が増えています。ただ、成長企業で職務給を採用すると、社員の能力が高まるのが早いのに対してポジションが少ないので、それに見合う給料を渡すことが困難になります。そのため、社外流出の危険性があります。したがって、職務給を導入することは遠心力系で、職能給を導入することは求心力系の制度と考えることができます。

今まで述べた②役割と③能力が評価を決定する基本的なベースとなります。

行動と成果に対する評価

そして、この基本ベースに掛け算する形で評価するのが④行動と⑤成果です。勝ちパターンがある程度決まっている企業では、それをきちんと取り組めば成果が出るはずです。しかし、当然運の要素も入ってくるので、努力しているかどうかを評価した方が公平、と判断した企業では④行動で評価します。

例えば、不動産会社はインセンティブ制が多いです。一棟売ったらいくらという契約のことです。つまり、売らなければインセンティブは発生しません。しかし、家はとても大きな買い物ですので、月に1棟売れるか売れないかです。その際に成果で評価すると、売上が0の時、どれだけ頑張ったとしても0.8棟売るなどは存在しません。その時は成果ではなく行動で評価します。例えば何件訪問したか、どれくらい案内したかなど、成果に至るプロセスを区切って、その中で指標を作り、これをクリアしたかどうかを見る。これが行動による評価の考え方です。

⑤成果とは成果主義。とにかく売上がいくらだったか、何をやっていたかは関係ありません。売上数値などの結果。それを見ていくのが5番の成果型です。

行動と成果、どちらも考慮する混合型もあります。成果目標もあれば行動目標もあり、両方バランスよく配分して評価しているところが多いです。ただ、階層が下に行けば行くほど行動で評価する傾向にあります。

例えば最終売上とは戦略を決める人の影響を大きく受けます。従業員が言われたことを真面目に取り組んだにも関わらず、戦略が違い間違った方向に進んでしまった場合。その責任とは経営者がとるべき責任です。そのため、下に行けば行くほど行動で評価するのが適しており、上に行けば行くほどむしろ成果だけです。この形式で評価することが最も公平ですし、ほとんどの企業でこの評価体系が採用されています。

最後に⑥功績ですが、日常的な報酬に功績を入れる企業はほとんどありません。少ないですが退職金にこれを入れるか考慮する程度です。

<3行まとめ>
従業員のモチベーションを高める動機づけ要因が重要。
評価を決める基本要素は役割と能力。
行動と成果をバランスよく配分した、公平な評価体系。