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潜在能力を見抜くには

人事担当者にとって、顕在化している能力だけではなく潜在能力でも候補者を判断する必要があります。では、潜在能力はどのように判断すれば良いのでしょうか。

多くの候補者は「○○な習慣を持っているので△△の成果を出しました」と話します。しかし、ポテンシャル採用をする際には成果自体はどんぐりの背比べであることが多く、単にラッキーだった可能性もあります。また「領域固有」といって、ある特定の分野で成果が出たとしても、それを自社での仕事に活かせるとは限りません。その他にも「フリーライド」に関する問題も含んでいます。これは、チームの成果を自分の成果としてただ乗りしている人を除外できているか、ということを示しています。

したがって、ポテンシャル採用をする際は成果からのアプローチをして習慣を判断するのではなく、なぜその人は習慣を得ることになったのかという「歴史」(生育史)を聞くことが重要です。

潜在能力が見抜けるエピソードを聞くには

では、潜在能力が分かりやすいエピソードを聞く為にはどうすれば良いでしょうか。
1つ目のポイントとしては最も成果が出たことではなく、最も長くやってきたことを聞くことです。なぜなら、最も成果が出たことを聞いてしまうと、候補者は面接受けが良いと勝手に考えている短期間の成果に関するエピソードを話します。しかし、採用担当者は習慣化されているのかどうかを聞きたいのです。つまり、長期的に繰り返し経験してきたことを聞く方が良いと考えられます。

2つ目は好きなこと(領域固有)よりも、嫌なこと(意味付け力)を聞くことです。意味付け力に関しては、人材マネジメントの章で3人のレンガ職人を例に挙げて述べてきました。嫌なことを頑張れる力の方が、好きなことを頑張る力よりも転用可能性が高いのです。そのため、嫌いなことを聞く方が良いのです。

3つ目はうまくいった話よりも、試行錯誤した苦労した話を聞くことです。これを聞くことで、フリーライドやラッキーだった可能性を低くします。

4つ目は「学んだこと」や、その経験を通じての「変化」を聞くことです。面接はPRの場であり、ほとんどの候補者が自分にとって良いことしか言いません。しかし、発言内容と候補者の印象に違和感が存在する時もあると思います。その時は、「あなたはそのことによってどう変わりましたか」と質問を投げかけると良いです。すると候補者は「私はもともとAでしたが、Bになりました」という返答をします。ここで初めて「私はもともとAでした」というネガティブな情報を入手できます。これが、その人の根底にある性格や能力です。ただし、元々の性格や能力がAだからといって不採用というわけではありません。あくまでも、これは変化を評価する際の判断材料に過ぎません。

潜在能力を見抜くためにエピソードを深堀するポイント

次にエピソードを深堀する際、どのような点に着目して聞けば良いのでしょうか。例えば、候補者が「私は○○の問題に対して△△の解決策をしたところ、□□の成果をあげました」という三段論法で話をしたとします。この時に重要な点は、「なぜその問題を解決しようと思ったのか」という部分です。どんな問題を解決したかは注目する必要がありません。同様に解決策の部分でも、「なぜその解決策を取ったのか」がポイントです。最後の成果自体も、売上が2倍になったという情報は必要ありません。大切なことは、成果を出すまでの間に解決策をどう試行錯誤して最後の成果まで導いたのかということです。

例えば、「焼肉屋で働いていて、お客さんが増えなかったのでビラをまきました。その結果売上が1.2倍になりました」とエピソードを語る学生がいたとします。この時にまず深堀するべき点は、そもそもどんな焼肉屋だったのかです。100席くらいの巨大店舗なのか10席くらいの小さな個人営業店なのか、路面店なのか2階にあるのか、などの環境を見ることです。なぜなら、エピソードの主人公にフォーカスしたとしても、それがどのような環境で行われているのかが分からなければ、そのエピソード自体の評価ができないからです。環境を聞くことによって、候補者が取り組んだ問題に対して優先順位が適切であったか評価をすることができます。

次に深堀すべき点は「お客さんが増えなかったからビラをまいた」ではなく、そもそもなぜお客さんが来なかったのか原因分析することです。例えば、学生街なのにランチメニューが1500円と高めであったとします。その理由は仕入れを普通のスーパーで行っているから。ではなぜ普通のスーパーで仕入れをしているのか。それは営業時間が○時~△時までのため、店が開いていないからだ。となった際の解決策はビラをまくことではなく、営業時間を1時間早めることかもしれません。このように“why”を繰り返すことによって問題の真因を発見することができます。

その次に考慮すべき点は解決案を出す際に「拡散」から「収束」のプロセスを踏めているかどうかです。なにか問題が発生した際の解決策は当然1つではありません。その時にまず、解決案としてAやB、Cといったアイディアを拡散させます。そして次に、スピードやコストを考慮した上で1つのアイディアに収束していきます。このような課題に対する解決案のプロセスが踏めているかどうか確認することが重要です。

そして最後にどのような壁やトラブルを乗り越えて正解に結びついたのか。いわゆるplan-do-check-actのPDCAサイクルが回せたのかを聞く必要があります。これの良い部分は、顕在化した情報は、自ら主体的に取り組まなかったとしても話すことができます。しかし、自ら取り組まなかった解決策については、その人が主体的でなければ答えることができません。つまり、フリーライダーは答えられないのです。

以上述べた点に注意してエピソードを聞くことで、候補者の潜在能力を測ることができます。

<3行まとめ>
ポテンシャル採用をする際は、候補者の習慣を得ることになった「歴史」(生育史)を聞くことが重要。
エピソードを聞く際は、長期的に繰り返し経験したこと・嫌なこと・試行錯誤したこと・変化の4つを聞くことが大切。
エピソードを深堀する際は、成果を出すまでの間に解決策をどう試行錯誤して最後の成果まで導いたかに注目。