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人材フロー戦略は一貫性と連動させる

人材フロー戦略と一貫性

前記事「組織人事戦略において最も大切なこと」では一貫性の重要性について述べました。そして、一貫性と人材フロー戦略とは連動させることが重要です。つまり、一番最初に決めるべき会社の方針や人材マネジメント方針などは、人材フローの考え方に基づくものであるべきです。

では人材フローとは何か。
これは難しいものではなく、「人の出入り」です。人がどのように入ってきて、どのように異動したり昇進したりを経て、最終的にどのように出て行くのか、というものです。そしてこれは最初にイメージするべき会社の設計図となります。ビジョンもミッションも決まっておらず、事業もはっきりしていない状態で人材フローを考え尽くすことは難しいので、これをFIXさせるタイミングというものがあります。停滞している日本の企業では、人材フローがあまり考えられていないが故に上手くいかない、というケースが多くなっています。

人材フロー戦略と組織の形の考え方

昨今、フラット型組織やネットワーク型組織などのような組織の形が取りざたされることがあります。それらは概念として存在しますが、基本的に組織とはピラミッドです。社長が10人もいる、といった会社は(多分)無く、基本的にはトップが一人で、順番に大きくなっているのです。このピラミッド=三角形をどう作っているのか、という考え方が人材フロー戦略なのです。

人材フロー戦略には様々な考え方があります。
基本的に新卒採用を行い、新卒で入った社員を大切に育て上まで行かせる、という考え方の企業もあれば、新卒採用はほとんど行わずに中途採用を積極的に行う企業もあります。採用という一点に限っても、全く異なる人材フロー戦略を採用する企業があるのです。

また、人材フロー戦略において退職率をマネジメントすることは重要です。「ずっと我が社に居てください」と言いつつも、実際は三角形にするために、外科手術的リストラを行ったり、子会社へ出向させたり、といったフローを採り、本体だけは三角形を保っているといった企業は少なくありません。

人材フロー戦略における優先順位

様々な人材フローを考えるにあたって、その優先順位づけは「コントロールしにくい部分から」が鉄則です。そして、日本では解雇規制があることと、”人を切ることへの抵抗”という文化によって、退職は非常に難しい問題となっています。しかし、人材フローを考える際には出口から、つまり退職から考えるということが基本でなのです。

次にコントロールしにくいのは、外部との接点を持つ採用です。つまり人材フローは、退職→採用と考えていき、最後に昇進や評価、育成などを考えていくのです。昇進や評価、育成などは後からどうにでもなる部分です。なのでコントロールしがたい、制約条件の多いところから考えて設計する必要があります。しかし、往々にして多くの会社の人事は、一番手が付けやすいところから考えてしまいがちです。

このような前提があれば、新卒採用条件はプログラマーに必要なロジカルシンキングが強い人、といった一点に絞ることができます。採用の基本は「裾野を広げる」ということです。狭い範囲では良い人材を採用しにくいため、MUST条件は少ないほうがよいのです。プログラマーの例を用いれば、お客様の業務フローを設計できるコンセプシャルスキルが必要、などといったことは見る必要がなくなります。

このように人材フロー戦略の確立によって、おのずと採用方針も決まってきます。そして採用後の配置や異動、社内教育なども決まってくるのです。

退職率の維持

リクルート社の例で言うと、リクルート社は決まった退職率を維持する、という人材フロー戦略を採っていました。リクルートという会社は基本的に、人々の人生の選択肢に対して色々なメディアを使って情報提供していく会社です。人生が枝分かれする時期。それはおのずと若い時期となります。ある程度の年齢を超えてからのセカンドキャリアなどもありますが、それはメディアが間に入って選択してあげないといけないほどの選択肢があるかといえば、そうではありません。年齢を経ればそれだけ機会は限られてきます。そのようなときに、ナビゲーションの必要性は低くなるのです。

となると、事業としてはある程度若い人向けのものとなります。年を重ねた人が、若い人の感性に触れる事業を提供できるかといえば、それは難しいことが多いでしょう。そのためにも「キープヤング」という人材フロー戦略を採用しました。退職率を維持するために、新卒採用でも起業家思考を持っていたり、自分で何かやりたいという気持ちが強かったりする人を積極的に採用していました。

さらに、退職率の維持のために重要なことの一つが「退職金」です。退社後のセカンドキャリアを始めやすくするような退職金制度を作ることで、キープヤングを実現していました。意図的に、どうやって人が出て行くのか、という部分を考えています。ときに研修制度であっても、自分の可能性や選択肢の多さに気付かせるようなメッセージを含んだキャリア研修も必要となるでしょう。

<3行まとめ>
人材フローに一貫性を。
コントロールしにくい部分から設計する。
退職は最も困難だが、考えなくてはならない要素。